白と黒の神話
 セシリアの指示に驚いたような侍女の声。それに対して、彼女はきっぱりと言い切っていた。


「それくらいわかっているわ。でも、ここであなた方が浮ついていると、いらぬ噂をよんでしまうわ。それくらいわかるでしょう」

「それはそうですが……」

「本日のご予定はすべて断るように。それをきいて見舞い客も来るだろうけど、それも断るように。難しいことを言っているのはわかっている。でも、そうしないといけないの」


 セシリアのその気迫に侍女はおされたようになっている。それでも、彼女の言葉に従わなければいけないと思うのだろう。ちょっと青ざめた顔色ながらも、お互いの顔をみながらうなずいている。それを見たセシリアは少しは安心したようだった。


「とにかく、陛下にお目にかかってきます。後のことはそれからね」
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