白と黒の神話
「さっきの言い方だと、リーナが火の魔法しか使えないのが不安みたいだったわ。どうして、そう言うのよ」

「何度も言ってるけど、今回のことはあたしにも全部みえているわけじゃない」


 先ほどと同じ言葉をグラン・マはセシリアに言っている。


「なんといっても、聖王女という存在は大きすぎるからね。そして、彼女をめぐる影が大きいことも間違いない」

「それは、さっきも聞いたわ」


 何度も同じことを聞かされて、セシリアは少々うんざりしている。だからこそ、返事も投げやりなものになっている。しかし、グラン・マはそれを気にすることなく言葉を続けていた。


「だからこそ、巡り合う相手を大切におし。最初は関係のない出会いに思えても、決してそんなことはない。リア、あんたを中心にして人々は集まってきているのさ」
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