白と黒の神話
 ミスティリーナの声に、グラン・マはうなずいている。


「あたしが全部みえていないことは間違いない。でも、これは確信をもって言える。もっとも、聖王女をめぐる影がとてつもなく大きいことも間違いないがね」


 グラン・マのその言葉にため息をついているセシリア。彼女は言葉の端々から、アルディスをみつけることが簡単なことではないと改めて感じたのだろう。しかし、それは最初からわかっていたこと。今は、先のことを考えないといけないとも思っている。


「じゃあ、これからもリーナみたいに協力してくれる人がみつかるの?」

「最初は味方のようにはみえなくてもね。あんたを中心に集まるんだよ、リア。辛いこともあるかもしれない。でも、集まった仲間を信じれば、道は必ず拓けるものさ」


 セシリアにそう言うと、話は終わりといわんばかりにグラン・マは軽く目をつぶっている。そんな彼女に、ミスティリーナは自分の疑問をぶつけていた。
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