白と黒の神話
「それはそうと、会いたがっている相手って? あたしには教えてくれないんだから」

「ごめんなさい、まだ教えてなかったわね。でも、リーナを仲間外れにするつもりはないのよ」


 ちょっとふくれた表情を浮かべているミスティリーナ。その彼女にどう説明すればいいかとセシリアは悩んでいる。しかし、いつまでも黙っているわけにもいかないのだろう。ルディアに着くまでに話さなければいけない、ということはセシリアにも分かっている。


「リーナはヴェネーレって知ってるでしょ」

「知ってるわ。それがどうかしたの?」


 セシリアの口から西の大国の名が出たことに、ミスティリーナは首をかしげていた。彼女はわけがわからないという表情を浮かべて、セシリアの顔をみていた。


「そのヴェネーレのカルロス王子が会いたいって言ってきたのよ」

「どうして、そんな人がリアに会いたいって言うの?」
< 65 / 314 >

この作品をシェア

pagetop