白と黒の神話
しかし、それならばどうしてこれがここにあるのか、という疑問がミスティリーナの中には浮かんだようだった。そして、それはセシリアにしても同じことである。彼女は思わずウィアに詰め寄っているのだった。
「どうして、あなたがこれを持っていたの? これはアルディス様のものよ。それはあなたも知っていることだし、カルロス様もご存知のことだわ」
「もちろん知っているさ。これは、俺がアルディスに贈ったものだからな」
そう返事をしたカルロスもテーブルの上の真珠をじっとみつめているだけ。
金の金具をつけた耳飾り。だが、そうであるならば二個で一対のはずなのに、その場には一個だけ。耳飾りは己の対がないことで心細げに光っているといえるのだった。そして、それをみながらセシリアはカルロスに問いかけている。
「カルロス様はどこでこれを?」
「出入りの商人が持ってきたんだよ」
「何ですって!」
「どうして、あなたがこれを持っていたの? これはアルディス様のものよ。それはあなたも知っていることだし、カルロス様もご存知のことだわ」
「もちろん知っているさ。これは、俺がアルディスに贈ったものだからな」
そう返事をしたカルロスもテーブルの上の真珠をじっとみつめているだけ。
金の金具をつけた耳飾り。だが、そうであるならば二個で一対のはずなのに、その場には一個だけ。耳飾りは己の対がないことで心細げに光っているといえるのだった。そして、それをみながらセシリアはカルロスに問いかけている。
「カルロス様はどこでこれを?」
「出入りの商人が持ってきたんだよ」
「何ですって!」