白と黒の神話
 思いもしなかったことを言われて、声を荒げているセシリア。


「キリキリするんじゃない。そいつも、どこかのもぐりから手に入れたんだよ」

「そうなんですか?」


 カルロスの言葉に問いただすようになっているセシリア。彼女のそんな様子にカルロスは苦笑を浮かべるしかないようだった。


「そうだよ。そいつにこの真珠を手配させたからな。だから、不思議に思って俺のところに持ってきたってわけだ」


 カルロスのその言葉にセシリアは何も言うことができない。そんな彼女にウィアが問いかけているのだった。


「では、セシリア殿。失礼を承知でおたずねいたします。アルディス姫はお変わりありませんか」

「そ、それは……」


 それは今のセシリアが一番されたくない質問だったろう。だが、隠しきるということもできない。
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