白と黒の神話
「では、今度は私の知りたいことに答えてください」


 セシリアのその声に何だろうというような顔をしているカルロス。その彼にセシリアは気になっていることをぶつけている。


「どうして、ここですか? たしかに人目は気になりませんが、ここは自由国境です」


 ルディアという土地の性格を知っているセシリアは、そのことが気になっているようだった。ここは何があってもおかしくない場所。治安がいいとはお世辞にもいえない。そんなところに呼び出した真意が知りたいのだろう。そんなセシリアの視線を感じたウィアはカルロスのかわりにしぶしぶながらこたえているのだった。


「先ほど、王子が言われましたでしょう。出入りの商人が、もぐりからそれを手にいれたと」

「それはきいたわ。でも、それが関係あるの?」

「そいつがこれを手に入れたのがこのあたりだったんですよ」
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