白と黒の神話
 勿体ぶったところで何も変わらないとわかっているのだろう。ウィアはあっさりと種明かしをしていた。そんな彼の言葉にカルロスが苦虫をつぶしたような顔になっているのだった。


「ウィア、そこまで教える必要はないだろう」

「王子は黙っていなさい。セシリア殿は知る権利があります。それもわからないんですか」


 ウィアの言葉にカルロスは何も言い返せない。というより、彼はセシリアの言葉が相当ショックだったのだろう。先ほどまでのセシリアがしていたように、じっと耳飾りをみつめていた。


「じゃあ、そいつはこの近くでそれを手に入れたわけ? ひょっとしたら、お姫様はこの村にいるわけ?」

「それはないと思うわ。だって、アルディス様は目立つもの。それに、アルディス様がいるのなら、陛下に連絡して褒美をもらうか、脅迫するかどちらかでしょうね」

「そうかもね。こんな村にいる連中が考えることだもんね」
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