白と黒の神話
 そうはいっても、この状況で何もしないわけにはいかないことをセシリアは知っている。彼女はミスティリーナの方をみているのだった。


「リーナ、このあたりで人を隠せるような場所ってある?」

「はっきりとは覚えてないけど……ルディアの北にそんなのがあるって聞いたことがある」


 ミスティリーナのその言葉にセシリアも何かを思い出したようだった。


「そういえば、随分と前の砦があったはずだわ。そうね。そこなら可能かもしれない。もとは砦だから、雨露はしのげるし……」

「それなら、今すぐに行ってみるか?」


 セシリアの言葉にカルロスは思わずとびついている。しかし、そんな無謀ともいえる提案は、ウィアによってあっさりと却下されていた。


「何を言っているんです。時間を考えてください。今から動くなんてことはバカのすることです」
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