白と黒の神話
 彼の問いかけに、いつもと同じ調子でこたえているウィア。しかし、それが空威張りなのはカルロスにはわかっている。彼はそばにいるセシリアたちを気にしながらもウィアに耳打ちしていた。


「意地をはるのはよせ。お前の性格ぐらいわかっているんだからな」

「王子にはかないませんね」


 カルロスの言葉に苦笑を浮かべているウィア。だが、これが黙っているわけにはいかないことだということも彼には十分すぎるくらいわかっている。


「気がつきませんか。何だか、重苦しい気配がしているような気がして仕方がないんですよ」

「そうか? 俺はそういう風には思わないぞ」


 そう言いながらカルロスは首をかしげている。そんな彼をみながら、ウィアは言葉を続けていた。
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