モラルハザード
「どうしたの?奈美ちゃん怖い顔して」
杏子が小首をかしげて近づいてきた。
品のいいワンピースはまたフォクシーのものだろう。
「ごめんなさい、ちょっと考え事しちゃってた」
ごまかしたところで、ドアがバッと開き、料理が運ばれていた。
同時に見たことのないような大きなケーキが運ばれてきて
子どもたちから可愛い歓声があがった。
向日葵が小さくジャンプして喜びを表している。
その姿をみながら私は決心した。
何があっても守ってみせる
この今の生活を。
向日葵のためにも…。
「さ、お食事しましょ」
私は杏子を促して急ぎ足でテーブルについた。