モラルハザード
最近、透の給料はめっきり減った。
地方の営業の仕事が来なくなったのだ。
先輩のライブの前座とか、
小さい深夜のバラエティの仕事で細々とやって、
透の実家からとうちの実家からの援助で
なんとかぎりぎり今の生活を保ってる。
今日は小さい仕事すらないみたいで
家にいるそんな透を見ると正直イライラしてくる。
「ふぁあ、ねむ…」
ゴロゴロして昼寝などしだした日には
もう怒りがこみ上げてきて。
「ちょっと斗夢と公園に行ってくる」
寝転ぶ透の姿を見るのを避けるように
斗夢の手を引いて玄関を掛け出た。