モラルハザード
陽介は、この「アリスの小部屋」の招待券を
どうやって手に入れたんだろう。
そして、昨日、また届いた横浜地裁の封書には何が書かれているのだろう。
確認したいけれど、それらを聞くのが怖い。
いつもそうだ。
あふれるほどの幸福感の後には、必ず、大きな不安の波が押し寄せてくる。
それに押しつぶされそうになるのを抗うかのように、私は大きく息を吸いながら
ぎゅっと目を閉じる。
「どうしたんや?ママ?酔っ払ったんか?」
陽介の明るい声の問いかけに、私はまさか、と言いながら
全ての不安を洗い流すようにワインをぐっと飲み干した。