モラルハザード

私はこんな時でも、向日葵が起きてしまわないか、そればかりが気になった。


「森川、おまえは人間の皮をかぶった畜生だ」


太田が、どん、と陽介を離して、恐ろしい目つきでそう吐いた。


「そして、それは、このだんなを野放しにしてるおまえもだ」


その目つきのまま、今度は私の方を向いてそう吐き捨てた。


「俺はお前たちを絶対に許さない、絶対に追い詰めてやるから、覚えてろ」


そう捨て台詞を残し太田はふらふらと歩いて去って行った。



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