モラルハザード

「私もなんです。他のみなさん、車で通われてるみたいですね。

この後、代官山のカフェでお茶されるみたいですけど」


知らなかった。

この後、みんなで集まっているなんて。


「なんだか、山下先生っていう先生を囲んでお茶会をするとかおっしゃっていたけど」


山下先生、誰、それ?まったく知らない情報だ。


隠しきれないくらい動揺した私を見て、まさやくんママは不審がった。


「どうかされました?」


我に帰った私は平静を装った。

「いえ、なんでも。そうだったんですね。私は電車で通った方が

莉伊佐のお勉強になるかなと思って、電車で通っているんです」


思いつきの私の言葉に、まさやくんのママの顔はパっと明るくなった。


「私もです。電車で通うと駅まで歩いて子供と話をしたり

電車の中で、社会や人との関わりを学ぶことも出来るし

とってもいいですよね。今日も、飛行船を発見したし」
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