モラルハザード
ちょ、ちょっと待って。
あなたが来ないと、私は行くことが出来ないの。
滝沢一族のあなたと一緒に行くことが、お茶会の入会の条件なんだから。
ここで断られたら、元も子もない。
「でも、せっかくですし、ご一緒しましょうよ」
「ん…やっぱり、いいです。ごめんなさい」
「どうして?皆さん、揃って参加されるほど、良いお話みたいよ」
「あまり興味がないの。ごめんなさいね」
近くでボール遊びをしていたまさやくんと莉伊佐が
フルーツを目ざとくみつけ、駆け寄ってきた。
「僕もちょうだい」
「りいさも」
滝沢さんが、バックからおしぼりを出して
二人の手を拭き、それぞれの好きなフルーツを選ばせ
子供用の串にさして手渡した。
「おいしいね」
「うん、おいしいね」
二人でちょこんと座って、フルーツをほおばる姿は愛らしかった。