モラルハザード


「ね、知ってる?杏子さんと薫さん、青葉会に入るつもりらしいよ」


「え?青葉会?あの聖英お受験専門のお教室の?」


青葉会に…

やっぱり、杏子ちゃんは莉伊佐ちゃんを聖英に入れるつもりなんだ。

そんな話、私に一言もしたことないのに。


「斗夢くんも聖英希望なんだよね、杏子ちゃんたら

誘ってくれたらいいのにね」

こういうことをサラッと言えてしまうのがみっこちゃんだ。

そう、本当だ、誘ってくれたらいいのに。


こそこそ、薫さんとやってると思ったら青葉会に入るつもりがあったんだ…


「でも、青葉会って、入るのが難しいんでしょ?

相当コネがないと無理だって」


「それがね、プレ青葉ってのがあって、今はそこに通ってるらしいんだ。

そこに通うと優先的に、青葉会に入れるらしいよ。

あ、実はね海外赴任していた時の友達が帰ってきて

今、そのプレ青葉に通ってるの。

それで、プリスクールに行ってる人も来てるよって教えてくれたの」


「ね、そこは今から入れるのかな?」


じりじりしてきた。

そんなところがあるなんて、つい今まで知らなかった。


「それが、定員いっぱいで無理みたいだよ」


みっこちゃんがこんなに呑気に話せるのは、聖英希望じゃないから。

まなとくんは、自分の母校でもある藍山に入れたいと言っていた。
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