モラルハザード
「別にそんなつもりはないよ。拗ねてるワケじゃない。別の選択肢の可能性が出て来たし、それはそれでいいと思うって言ってるんだよ」
「私はいやよ。莉伊佐に最高の環境をプレゼントしたい。そのために小学校受験は大事なターニングポイントになるわ。亮太、あなただって、そういう環境で育ってきたじゃない。同じような環境を自分の子供にも提供したいと思わないの?」
そう、亮太は小学校から医学部のある大学にエスカレーターで進み、そのまま、そこの大学病院に勤めている。
小学校からの友人たちも、皆、同じような環境の家庭が多く、品が良く、ある程度のステイタスがある人ばかり。
自分が満たされているから、他人と争うことなどしない。
こんな財のような友人や地位を、亮太が持てるのは、やはり、小学校からの環境のおかげだろう。