モラルハザード

「初めまして、桜庭と申します。山下先生のお茶会にようこそ。

このお茶会は子供の教育を真剣に考える母親の会なんですよ。

山下先生のお話は、本当に素晴らしいのよ。

高畠さんのような方に入っていただいて、嬉しいわ」


「こちらこそ、よろしくお願いします。

私も、皆さんのお仲間に加えて頂けて光栄ですわ」


私は浮足立つ気持ちを見抜かれないよう努めて落ち着いた声で話した。

それくらい、私は興奮していた。


「高畠さん、それから、多分なお心遣いをありがとうございます。

この会の活動費として有意義に活用させていただきますね」


ここに入会するために振り込んだ100万のことだ。


「ええ、お役立てて嬉しいですわ」

そのお金がどういうふうに流れるのかわからないが、さして関心もなかった。


「もうすぐ、山下先生がいらしゃるわ…あ、いらした、さ、席に着きましょう」

そう促されて、私と薫さんは、テーブルに着いた。
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