モラルハザード


透は、相変わらず、部屋にこもったままだっだ。

貯金もあと10万ほどとなり

いよいよ、これからの生活をどうしようか

というところまできていた。


携帯の着信は、また消費者金融からの電話だろう。

わざと出ない。

返済の期日が過ぎても返せていない私への取り立ての電話だ。

そうして、日に何度もかかってきて気が狂いそうになる。


「…ママ、だいじょうぶ?」

そんな私を斗夢が心配そうにのぞきこむ。

この子に心配をかけてはいけないと、無理やりに笑顔を作るが

すぐにまた暗い顔になってしまう。
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