モラルハザード
『…この容疑者は、レストランで
主婦のグループを集め囲いこみ商法で商品を売り付け…』
見覚えがあるどころではなかった…
これは…
この人は…
紛れもなく…山下先生だ…。
山下 栄(63)とテロップが流れ確信した。
私は声にならず、ただ、全身がぶるぶると震えた。
「…杏子?どうしたんだ?」
亮太の声が遠くで聞こえるような気がした。
『…また、この男からは多額の金が暴力団に流れており
今後はその入手先を周囲から捜査する方針です…』
周囲からって、捜査って…
私が渡したお金も、もしかして、暴力団に…
大きな眩暈がして、私は意識を失いそのまま倒れてしまった。