モラルハザード
透は、私が入院している間、斗夢を世話しながら
金策に走ってくれた。
仕事をとるためにどこにだって、頭をペコペコ下げた。
周りの先輩芸人や友達にも借金を頼んで素気無く断られたり。
私がしてきた分不相応な贅沢は、利息も膨らんで400万近くになり
これは、もう自分たちでは手に負えないと
私の退院を待ち弁護士に相談した。
「なるほど、このケースですと、自己破産の申請されて、免責を
受けるしかないですな」
淡々とした口調で当たり前のように弁護士は言った。
街中にあるこの小さな弁護士事務所は、透がネットで調べてきた事務所。
透の所属している芸能事務所の顧問弁護士に相談することは、やはり
避けた方がよいだろうと、ネットで借金の返済などに詳しいと言われる
弁護士を探したのだ。