モラルハザード


今日は相原真琴のバースディパーティ。

プリスクールのレッスンのあと、

自由が丘のカフェ サマンサに親子連れが集まる。

今日の主役、相原真琴は大きめの紙袋を持ち席に着いた。

傍らにはいる息子の斗夢もそわそわした様子で席につく。

ほどなくして、高畠杏子が娘の莉伊佐を連れて現れた。

きょろきょろと落ち着きなく辺りを見回し

やがて真琴と視線が合うと笑顔を作り、真琴の斜向かいに座る。


「久しぶりだね、杏子ちゃん」

杏子の座ったタイミングをみて、真琴が話しかける。


「ほんとね、真琴ちゃん、体調悪かったって聞いたけど、大丈夫?」

「うん、ありがと。もうすっかり調子いいんだ」

「よかったわ」

そこで会話が終わってしまったため

二人ともなんだか居心地が悪くなり隣に座っている子供の世話を焼き始めた。
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