モラルハザード

そうしているうちに他のママ友たちも集まってきて

テーブルは一気ににぎやかになった。


場が盛り上がったところに、現れたのは森川奈美だった。

バレンシアガのワンピースに身を包み

秋らしいボッテガヴェネタのボルドーのバッグを添えていた。

傍らには、向日葵が一目で海外のものとわかるワンピースを着て

小さなレディのように立っている。


「ごめんなさい、遅くなっちゃって」

杏子の横の席に着き バックを膝に置いた。

その指先にいつものようにネイルが施してあるのを杏子はさりげなく確認した。


「入り口で、薫さんに会ったのよ、なんかお電話が入ったみたいで

外に出て行かれたわ」

杏子は慌てて、入り口に視線をうつし

小宮山薫を確認し険しい表情をした。
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