モラルハザード
「…真琴ちゃん、これって、いったいどういうことなんだろうね」
みっこちゃんも、この状況に放心していた。
「…みっこちゃん、もしかして、あの聖王会の会長が逮捕されて事件に関係あるのかな」
聖王会の会長が逮捕されたあのニュース、最近、世間を騒がしていた。
「…そうだね、あれは、青葉会のママたちも事情を聞かれたりしてるって
友達が言ってたけど…」
みっこちゃんがチラッと杏子ちゃんに視線を移した。それから小声になって
「…杏子ちゃんも大丈夫なのかな…?薫さんと一緒にプレ青葉に通ってたでしょ…」
杏子ちゃんを見ると、青ざめて顔でうつむいていた。
「…よかったね、真琴ちゃん、プレ青葉になんか誘われなくて…」
こんな時にも、みっこちゃんらしい、ストレートな物言いだった。
「…こわいよね、何が起こるかわかんない…」
そして、みっこちゃんはそう呟いた。
そう、何が起こるかわからない。
私だって、透が薬物疑惑で捕まっていたら
自己破産で自暴自棄になって、何か犯罪に手を染めていたら
薫さんのようなことに、なっていたかもしれないのだから…。