モラルハザード
「あ、とむくんだ。こっちこっち」
公園に着くと、すぐにそうやくんが手招きをしてくれた。
子供はどこでもすぐに友達を作ることだ出来る。
「トムくんママ、またお腹が大きくなったんちゃう?」
そうやくんママが、私の大きなお腹を優しく触ってくれた。
子供につられてすぐに友達になれるのが、ママ友の良さだ。
「あ、次も男の子ちゃう?ええやん、
そしたら、全部上の子のを回せるし」
3人の子供をもつ、みゆちゃんママが、がはっ、と笑って話しに加わってくる。
ここでのママ友たちは、あのプリスクールのママ友たちとは全然違い
みんな気どりがない。
化粧もそこそこで、服装も安物の服で賄い
週末のユニクロの特別価格の服は、毎回誰かとかぶってしまうが
誰もそれを気に留めることはない。
青い空、連なる山並み、のんびりした時間の流れ…
ここにいると、あの東京のプリスクールでの暮らしは
どこか遠い遠い別の世界のことのようだ。