モラルハザード


斗夢くんはさておき。


向日葵ちゃんの成長ぶりには目を見張るものがあった。


先生の指示を聞き、一番に椅子に座る。


絵本の絵が何なのか、はっきりとわかって指をさす。


ボールをなげても正確に先生のところに返すことが出来たのは


向日葵ちゃんだけだった。


「向日葵ちゃん、すごいね~、やっぱり女の子は成長が早いわ」


呑気な声でそう言った真琴のことまで憎らしかった。



莉伊佐、何をしているの?

あなたが、何でも一番に出来て当たり前なのよ。

今まではそうだったじゃない。

後ろから、大きな声でそう言いたい衝動をこらえる。
< 78 / 395 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop