モラルハザード
斗夢くんはさておき。
向日葵ちゃんの成長ぶりには目を見張るものがあった。
先生の指示を聞き、一番に椅子に座る。
絵本の絵が何なのか、はっきりとわかって指をさす。
ボールをなげても正確に先生のところに返すことが出来たのは
向日葵ちゃんだけだった。
「向日葵ちゃん、すごいね~、やっぱり女の子は成長が早いわ」
呑気な声でそう言った真琴のことまで憎らしかった。
莉伊佐、何をしているの?
あなたが、何でも一番に出来て当たり前なのよ。
今まではそうだったじゃない。
後ろから、大きな声でそう言いたい衝動をこらえる。