貴方が好きでした。
始まりは一瞬で、
気付いたら落ちていた。
『咲良ー、あんたのクラスに
青いピアスしてる子いない?』
『知らない。
いないんじゃない?』
夏休みが終わって、9月に入った頃。
梅雨なんてほとんどない北から、
残暑の厳しい関西へ引っ越してきて
初めての秋の季節に姉が聞いてきた。
暑くて頭の中が沸騰する。
言葉の違いに未だに慣れなくて、
この地が大嫌いだった。
姉の問いかけに一瞬だけクラスの
男子を思い巡らせてから答える。
『多分、2年だから探しといてー!』
『何それ、その人がどうしたの?』
『イケメンだったの!』
姉の言葉にため息が漏れた。
順応性のある姉はもうこの地に
慣れたらしい。
その性格がうらやましかった。
団扇で風を作りながら、
クラスの男子を思い出しても半分は
名前が出てこない。
前の学校は2クラス約80人だった。
今の学校は6クラス約300人。
こんなに人が多くなってクラスの
男子すら覚えられてないのに
青いピアスの人を知ってる訳がない。
考えるのを止めて瞼を閉じた。
蝉の鳴き声が遠くで響いていた。
気付いたら落ちていた。
『咲良ー、あんたのクラスに
青いピアスしてる子いない?』
『知らない。
いないんじゃない?』
夏休みが終わって、9月に入った頃。
梅雨なんてほとんどない北から、
残暑の厳しい関西へ引っ越してきて
初めての秋の季節に姉が聞いてきた。
暑くて頭の中が沸騰する。
言葉の違いに未だに慣れなくて、
この地が大嫌いだった。
姉の問いかけに一瞬だけクラスの
男子を思い巡らせてから答える。
『多分、2年だから探しといてー!』
『何それ、その人がどうしたの?』
『イケメンだったの!』
姉の言葉にため息が漏れた。
順応性のある姉はもうこの地に
慣れたらしい。
その性格がうらやましかった。
団扇で風を作りながら、
クラスの男子を思い出しても半分は
名前が出てこない。
前の学校は2クラス約80人だった。
今の学校は6クラス約300人。
こんなに人が多くなってクラスの
男子すら覚えられてないのに
青いピアスの人を知ってる訳がない。
考えるのを止めて瞼を閉じた。
蝉の鳴き声が遠くで響いていた。