オレ様になりたくて…。



「とにかく、クラブハウスに戻りましょう」


結城さんの言葉に従い、クラブハウスに急ぐ事にした

と言っても、乗馬初心者のアタシが急げる訳もなく、着いた時にはチャラ男と怪物瀬尾の姿は何処にもなかった


「太一のやつ…車置いてけよ…」


結局、チャラ男は自分ちの車を手配していたらしく、アタシと結城さんは少し待つと迎えにきたその車で家に辿り着けた


「難波さん、大丈夫?」


先にうちに送ってもらい、別れ際に結城さんがアタシに言う



「何、言ってるんですか。むしろ、うるさいのにまとわりつかれなくてホッとしていますよ」


と、言うと


「その割には随分、悲しい顔をしているよ。今にも泣きそうだ」


「えっ…?」





結城さんにお礼を言うと、その場から逃げるように自分の部屋に逃げ込んだ


悲しそうな顔ってなんなんだよ

今にも泣きそうってふざけた事言うんじゃねーよ

玄関先でアタシの頬を静かに涙が伝った



< 123 / 137 >

この作品をシェア

pagetop