オレ様になりたくて…。
っで、お前飲み過ぎじゃねーの?

こいつ

飲めなーいとか言いながら、生中3杯目じゃね?

しかも、全然酔ってねーし

結局、その夜オレは瀬尾に引きずられるようにして、会社近くの少し洒落た感じの居酒屋に来ていた


「布施さ~ん、私、急に酔ってきた~」


っつーか、顔、全然素面じゃん

ぜってー酔ってねぇって

オレがどれだけの女相手してきたと思ってんだよ
演技だって解るっつーの

そりゃ、昔のオレだったら、女の子の嘘臭い演技に有り難く乗っからせてもらったけど

今のオレは…

その先の思いはまた心の奥へとしまいこんだ


「布施さ~ん」


と言ってカウンターで並んで座るオレの肩にもたれてきやがる

キッツい香水つけてんのな

その点、難波薫子は何もつけて無さそうなのに、いつだってほのかに甘い香りがした

ほんの少し、香るあの甘い匂いを嗅いだだけで

オレは心が締め付けられそうになって

ただだだ、抱き締めたくなる



いやだから、おいおいって

オレ、今度こそ手ひくって決めたじゃん

もう犬コロ止めるって決めたじゃん




しっかし…

離れろ!このモンスターめ

すると

「布施」

と声がして、振り返ると営業一課の柊さんたちがいた

そこには当然、難波薫子もいた
< 127 / 137 >

この作品をシェア

pagetop