オレ様になりたくて…。



「あのさぁ、例の物件だけどさ…」


「はあ?」


振り返る難波の顔がマジ怖い


「れ、例の物件ですけど…」


相変わらず言葉使いには厳しい難波薫子


「さっき、また変更指示のメールきてたんすけど、もうちょい詳しい説明もらえないっすか?」


「ああ…、近江岸邸の事だよね。確か、これは…」


ってなワケ


絶対さ、見るじゃん

目の前にいるんだし

しかも、仕事中ってヤン語じゃねぇから妙に優しく感じて

ちょっとドキッてるオレ

これが毎日続くんだからそりゃ無理っしょ

デスクに座る難波薫子のショートボブから見える白い首筋見りゃ

やっぱ、この女落としてぇって

オレが年明けに立てた決心なんか、簡単に崩れたっつーの



< 65 / 137 >

この作品をシェア

pagetop