オレ様になりたくて…。
「あのさぁ、例の物件だけどさ…」
「はあ?」
振り返る難波の顔がマジ怖い
「れ、例の物件ですけど…」
相変わらず言葉使いには厳しい難波薫子
「さっき、また変更指示のメールきてたんすけど、もうちょい詳しい説明もらえないっすか?」
「ああ…、近江岸邸の事だよね。確か、これは…」
ってなワケ
絶対さ、見るじゃん
目の前にいるんだし
しかも、仕事中ってヤン語じゃねぇから妙に優しく感じて
ちょっとドキッてるオレ
これが毎日続くんだからそりゃ無理っしょ
デスクに座る難波薫子のショートボブから見える白い首筋見りゃ
やっぱ、この女落としてぇって
オレが年明けに立てた決心なんか、簡単に崩れたっつーの