オレ様になりたくて…。
〈薫子side〉

チャラ男が席を立った後、最初に言葉を発したのは三輪さんだった


「中々、良いヤツになつかれているじゃないか?」


「なつかれてるって…犬じゃあるまいし」


一瞬、想像して思わずクスクスっと笑う


「お前、そんな顔して笑うんだな」


「えっ?」


「俺といる時のお前は、笑っていてもどこか寂しそうだった」


そんな風に見られていたなんて…


「だから、俺は何とかお前を心から笑わせてやろうと思ってお前を愛した。愛する事でお前を笑顔にしてやろうと思ったんだ」


「三輪さん…」


「なのに、俺が愛せば愛するほどお前は苦しそうな顔をする。結局、俺はお前を苦しめる事しかできないんだな」


何も返す言葉が無かった

三輪さんの言う通りだったから

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