この空に咲く
(なんて言うか、ここの人はみんな美男美女ばっかりだな)
飛鳥がふとそんな事を思っていると千秋が次の部屋の前で立ち止まった。
「凪?入るよ」
そしてまた開かれた扉。
中からは煙草の匂いが溢れだしてきた。
「んだよ千秋。」
「またそんなに吸って…」
千秋が山積みになった灰皿の中身に目をやる。
「関係ねーだろ」
そしてまた吸い掛けだったであろう煙草を手に持ち吸い始める少年。
「まったく…ごめんね、早く終わらせちゃうから」
飛鳥に気遣って言う千秋の言葉に反応した少年が飛鳥の存在に気付いた。
「誰だよ、そいつ」
明らかに飛鳥を睨む少年。
(うう…)
「彼女は今日入寮してきた境飛鳥さんだよ。そしてあっちが大麻凪(オオアサ ナギ)。」
千秋が交互に紹介してくれしあう。
「は、初めまして!境飛鳥です!」
「……あっそ」
全く無関心だという様に凪はまた煙草を吸い始める。
「じゃあ出ようか」
その空気に堪らずにいた飛鳥に千秋の天使の声がかかった。