アイドルな彼をひとりじめ




「うそ」


私がそう言うと

「キャッチしちゃった」

ってれんれんははにかんだ。



そして客席からは大きな拍手があがった。



「おめでとうございます!カップルさんですか?これからもお幸せに~☆」


と、飼育委員。



え、カップルじゃないです。


対応に困っているとれんれんに頭を撫でられた。


客席からは今度は「ひゅーひゅー」とひやかす声。



わぁ、恥ずかしい。



それにれんれん、迷惑じゃないのかな。



こうしてイルカショーは終わった。



一体何時間、水族館にいたのだろう。


外に出ると陽も落ちてもう夕方になっていた。



海岸に戻ると人の数もだいぶ減っていた。



無言のまま砂浜を歩く。



「ねぇ、れんれん。今日はありがとう。すごく楽しかったよ」








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