ゴーストバスターZERO
第17話(未知との遭遇)
ちは!
アタチの名前は
零実
(↑その前は零子じゃなかったか?)

いよいよ…
未知との遭遇だぜ!

出たとこ勝負だけど…
早くしないと…

あの坊主も危ない状態だ…
俺も、幽体離脱したから
魂の緒を死神に切られる
恐れもあるし…

ZEROは…
俺の元の体を
苦痛に耐えながら
再生している


天魔も霊力を使い果たし
霊界に戻ってしまった…


頼れるのは
自分だけ!

限界ぶっちぎりで
暴れてやるぜ!!



……第十七話(未知との遭遇)



幸いにも…
UFOは…
まだ地球に戻り
上空を停滞していた…


宇宙に行く前に
ケリをつけるぜ!!


坊主!!

待たせたな!!


若い男に
憑依した俺は…


なんだ?

コイツの体の霊が
見当たらなかった…


まぁ
好都合だがな…

俺は横になったまま
まばゆい光の中
目を開けると…


何もない空間だった…


それでも体が浮いている

やがて低部の扉が
ゆっくりとしまった…


この空間には
重力がなく
直立で立つことも
出来なかった…


マズイな…
地球には引力があり
それと平行して重力がある

踏ん張ることで
攻撃の威力が増し

体重の移動で
よけたり、
衝撃を和らげる事が
出来るのだが…


「マジかよ…」
「あの坊主はどこなんだ?」

確かUFOの大きさは
ミニバンを横に二台
並べた程度なのに
中がこんなにも広いとは…
まるで
野球が出来る広さなんだ…

一刻も早く坊主を
探さないと…

俺は目を閉じ
ほんのかすかな
霊的波動をキャッチした


自分が浮いているとこの
真上の部分にいるのか…


俺は…
平泳ぎしながら
上へと上へと向かって行った…


まばゆい光に
目が慣れてきた


俺は…
坊主が浮いているのを
見つけた!!


「おい!大丈夫か?」

ホッペを叩いてみたが
反応がない…

坊主を縛った光の紐を
ちぎった…


オリリャ~!


いとも簡単にプチプチ
切れたが…


光の空間が
オレンジ色に変わった


ん?


ズン…


重力が変わった…


あっ!!

落ちるのか!!


坊主を抱き抱えたまま


落ちて行くが


これまた
ゆっくりと
落ちて行った


下に
何かうごめいている


ゼリー状の物体だ!

これが宇宙人かよ!?


数百?いや数千か?
卵サイズだが…


意思はあるようだ


俺はゆっくりと
その上に
二本足で立った!!

踏んでしまったが…
ムニュムニュ
としていた…
スライムか?

「なんだこれは?」
「コレが、地球外生命体か?」


確かココが開いた場所だったよな?


ドンドン…床らしき所を
踏みつけてみる


アカン!開かんな…

その振動が


スライムに伝わったのか

スライムが
段々と結合を繰り返し
巨大化してしまった!!


「やるのかよ…上等だ!!」

坊主を
離れた場所に
寝かせ…


向かって行った!

「行くぜ…あれっ!?」

重力がオカシイのか
スローモーションみたいだ…(泣)


喰らえ!!

パンチを出すが
スロ~なんで…


ピタッ…

そりゃないぜ…(泣)


てか…

手が外れない…


ズブズブと…


飲み込み始めて行く…


ヤバイ…

雷電を拳に溜めるしか…


このまま
ぶち込んでやるぜ!!


地球人をナメるなよ!!


ウオァォォオオ…

憑依していた体が
極限状態になり


恐らく
このUFOの外で
雷神が現れてたんだな…
パワーが溜まった!!


「行くぜ!!」
「雷電拳!!」

俺は
雷電拳を放った
瞬間に…
そのスライムの中に
体全部飲み込まれてしまった!!


雷電の電気的攻撃が
効かなかった…


むしろ
スライムに
エネルギーを
与えてしまった…


俺は一撃必殺の切り札を
使い果たしてしまった…



やがて…

鼻の穴
耳の穴
口まで

スライムが
侵入し始めていった…



俺は…
スライムの体の中から
見える坊主に
向かって…


「クソが~!」と
何も出来ない
自分が悔しかった…


でも
諦めないぜ!


何か
方法があるはずだよな…


ZEROよ…
いつも言って
くれてたよな…


考えろ…


例え…
ココが俺の
最後のバトルに
なろうとも…


絶対に…
諦めないぜ!


だよな…
友よ…



そうか…

元々
俺は…
幽体だったよな…


この若い男が
いたから、憑依したんだ…

いなかったら、
俺は坊主に憑依するつもりだったんだ!


おい!
兄ちゃん!
ちょっと待ってろよ…


最後の賭けに出た!!


スゥーッと…
若い兄ちゃんから離れ

スライムを抜けれた俺は

坊主の体に憑依した!!


坊主は、坊主の体にいた!!


(大丈夫かな?)

「うん…おじちゃん誰?」
(おじちゃん?まぁいいや…ちょっとだけ、この体を借りていいかな?)

「何するの?」

(ココは…UFOの中にいるんだよ…)

「分かんないよ…」
「だって、ママと買い物に行くんだよ…」

(知ってるよ…ママに頼まれたんだよ…)
(早く帰ろうね!)
(だから、体を貸してくれないかな?)

「帰れるの?」

(絶対に…帰ろうね!)

素直な子だな…

坊主と俺の意識が
完全にシンクロした!!


いいか…立つぞ!


「ここって?…あの大きなヤツをやっつけるの?」
「人が入ってる…」

(あの人も危ないんだ…)
(やっつけるより、脱出するんだよ!!)
(左手をじっとみてくれるかな?)
(熱くなれって念じるんだ…)


「分かった!!やってみるよ」
「う~ん、う~ん…」

(なぁ…坊主…怖くないのか?)

「怖くないよ~!」
「おじちゃんが大丈夫って言ったから!」

(坊主…(泣)

こんな小さな子に教わるとはな…

見ず知らずの俺を
純粋に…
信じてくれる…

俺とは
大きな違いだな…
ZEROは…
これを聞きたかったんだよな…(泣)

「おじちゃん?」
「何で泣いてんの?」
「変なの!」

(そうだな…坊主の気持ちが、嬉しかったんだよ!!)

やがて…
左手に…
雷電が溜まった!!

(坊主…準備はいいか?)

「あい!!」

(これは…)
(この床に向かって…)
(やるんだよ…)

「あい!!あい!!さー!」

(いい子だ!!)
(戻ったら、ハンバーガーをご馳走してやるからな!!)
(行くぜ!!坊主!!)
(せーの…)

(マイナス雷電拳!!)
「雷電拳!!」


床に向かって放った
雷電拳は
さすが衝撃が加わったのか…
扉を吹き飛ばし
マイナス雷電拳は

直線を描きながら
ある山の山頂へ


プラスはマイナスを
引き寄せるはずだ!!


スライムはプラスの雷電を蓄積してた…

UFOは
そのまま…

山頂へと引き寄せられ
不時着する瞬間に…
扉から坊主をジャンプさせ
すぐに若い兄ちゃんに
憑依して
脱出した!!


スライムはマイナス雷電が埋まった土の中に消えていき、スライムがUFOから離れた瞬間に…

消えてしまった!!
消滅したのか?
他に仲間がいたのか?

ヤツらの事は
それっきりで分からなかった!!


俺は
天魔を呼び
若い男の霊体を捜してもらい、中に入れ込んだ…


若い男は
気がつき、何でここにいるのか?
首をかしげていた…


ここは…
日本か?


「天魔よ!!」
「ここは、どこだ?」

(肥後の国じゃ…)

「肥後ってドコさ?」

(熊本じゃ…)

「熊本ってドコさ?」

(阿蘇山じゃ!!)

「早く帰ろうぜ!」

坊主に憑依した俺は
若い男に聞いてみた

「ねぇ…お兄さんは、ドコの人なの?」

「オイは熊本ばってんが、もう帰るばい!」


「お兄さん…自分も連れてってよ~」


「何でか?子供好かんし」

よし…
俺が話つけてやる!!
兄ちゃんに憑依した俺は
警察まで連れて行くように頼んだ…

ちょっとだけ、秘密を知ってしまったからな…
それを聞いた兄ちゃんは…渋々用件を飲んでくれた…

無事警察まで
たどり着いた
少年は、保護された!!


俺は…
それを見届けると
一足お先に
天魔と一緒に
帰った…


後に
坊主は
瞬間移動したとか
神隠しから生還したとか
UFOから脱出したとか
テレビで一躍有名に
なったのは
このちょっと後の話


「天魔よ!!あの兄ちゃんは何で居なかったんだ?」

(あれはな…好きな娘がおっての…そばに居たいと言う気持ちが…無意識に生き霊を飛ばしてたんじゃ…)

「生き霊か?たちが悪いな…本人が気付かないから、始末が悪いからな!」

(だから、あやつの肉体と霊体を結ぶ魂の緒に、ちょっとだけ細工したんじゃ…)

「……」

(零?居らぬ…)
(もしや…死神が嗅ぎ付けたのか…)
(零~!!)
(急がねば…取り返しがつかぬ事になるぞ…)


(零~!!)


第十七話 続
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