ゴーストバスターZERO
第9話(ゆるされぬ恋の行方)
おっす!
俺は零。
前回より、疲れた体を
癒すために温泉旅行に
1人旅したんだけど…

その温泉郷で…
女将の不可思議な発言
風呂奉行
ガム坊主親子等の
ハプニングがあり
散々な旅行かと
思いきや…

宿で知り合った
ハナという娘に
一目で恋に落ちた…


ただ…


そのハナっていう娘…


好きな人を想い続けて
やがて…
亡くなった…
浮かばれない魂だった…


……第九話(許されぬ恋の行方)


俺は…
女将に無理を言って
あと3日間だけ滞在を
延ばしてもらうように
お願いした…


始めは、怪訝そうだったがあまりにも、俺の押しに
女将も根負けしたようだった…


俺は夜が待ち遠しくなり…
ハナに会うことだけを
考えていた…


ハナ…


名前を呼ぶと…

すぐ近くにいるような感じがして、胸が苦しくなった

夕暮れ時に
一度現れるハナ…
明るくて…
時おり見せる笑顔が
俺の心を満たしてくれた…

夜になると…
うって変わり
彼を想い、涙を流すハナ…

そのひたむきな想い
一途な姿勢に心を打たれてしまった…


最初は…
同情から始まり
気がついた時には
もう…
好きになっていた…


俺は日に日に…
食欲がなくなっていき…

見るみる痩せていった…


そんな俺の変化を
女将が見逃す訳はなかった…


「お客さん…お客さん…」

「……」


「ほらっ!!しっかりしなさい!!」


「……ぁ…ぁあ…」


「お客さんの両隣の部屋から、苦情が来てるんだよ…」
「夜中に何をやってるんだい?」


「……ぁあ…ぁあ…」
(↑オイ!!何とか言えよ!)(↑どうしたんだ?)
(↑今、何が起こってるんだ?)


飯もろくに食べず
酒だけでは
ここまではならない…

ハナも彼を諦め…
俺を好きになってくれた…

俺は…
生命エネルギーを
吸い取られていたのだった
(↑何やってんだよ…)


毎晩来るハナを
待ち受けた俺


まさしく…

朝が来るまでの恋
ハナは俺と一緒に居たいと言ってくれた…

俺もだよ…

ハナを愛してる…


やがて…



帰る日が来た…


宿を出る俺に女将が

「お客さん…ちゃんと無事に帰るんだよ」と

言ってくれた…


宿を出たら
外の明るさに
びっくりした…


そのまま
土産屋に立ち寄り
ハナを想い浮かべていたら

「零さん…零さん…」

微かに聞こえた声は
紛れもなくハナだった



そのまま…
導かれるように
歩いて行くと…

墓地があった


俺は
ハナの墓を
探しあて…


墓石を抱きしめたまま
意識が無くなっていった…


(零…聞こえてるか?)
(お主は、今、生死のはざまにいるのじゃ!)


「……」


(お主…もう…生に対しての未練は無いのか?)
(零よ…お主…)


「天…魔か…」
「世話に…なったな…」
「俺は…ハナを…」
「愛し…てる…」

(なにを言ってるんだ?)
(愚か者めが!!)
(死者との恋愛など成就する訳がない!!)
(正気に戻らんか!!)


「じゃ…あな…天魔」


俺の意識が…
遠くなっていく…

ハナ…
今…行くよ…


バッシーン!




誰だ?



女将?


何しに
来た…



「やっぱり…ここだったね…」
「アンタ…魅入られたんだよ…」
「このハナって女にね…」

「知っているのか…」


「あ~知ってるよ…」
「ハナって娘は…1人旅の若者に近付き、同情を誘い取り殺すんだよ…」
「何人の男が犠牲になったのを、この目で見てきたんだ!」


「ハナ…それは本当か?」

「零さん…早く…」
「何をしてるの?」
「早く…」


「お客さん!!いっちゃダメだ!!」
「アンタ…自分が先に死んでしまったら…」
「惚れた女を殺すのかい?」
「違うんだよ…自分の分まで長生きして、幸せを願うのが愛なんだよ!!」
「目を覚ましなさい!」


バッチ~ン!!


女将の二度目のビンタで
目が覚めた…



ハナは…

可愛いハナが…
見るみるうちに…


変わっていった…



俺の…

ハナは…



もうソコには…


居なかった…



第九話(許されぬ恋の行方)
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