蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
4.癒される傷
肌に触れるシーツの感触が心地いい。
絢乃は雅人の口づけを受けながら、手足に触れるシーツの滑らかさを感じていた。
・・・絢乃の全身を包み込む、クールで爽やかなグリーンノートの香り。
いつからか、この香りに触れると心安らぐようになっていた。
昔はあんなに恐れていたのに、どうして・・・。
───人の心は、不思議だ。
「・・・ぁ、んぅ・・・っ」
ふいに唇の端を甘噛みされ、絢乃は声を上げた。
雅人は絢乃の下唇を啄み、くすりと笑う。
「何を考えてる?」
「・・・北條さ、・・・んぅっ」
雅人の唇が再び絢乃の唇を覆う。
───苗字を呼んだお仕置きだ、とでも言うかのように。
唇は次第に深くなり、舌と舌が絡まり合う。
舌の間で生まれる甘い蜜が、唇の端から零れ落ちる。
ぼうっとしたまま雅人の唇を受けていた絢乃だったが、雅人の指が鎖骨に触れたことに気付き、反射的に背筋を強張らせた。