蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
「・・・前に熱中症で倒れた時も、お前は同じ目をしていたな」
「・・・雅人、さん・・・」
「話せ、絢乃」
雅人は絢乃の頬を両手で包み、絢乃の瞳を覗き込んだ。
・・・優しさと愛情に満ちた、その瞳。
絢乃はその瞳に、心の奥がじわりと熱くなるのを感じた。
「話せ」
「・・・っ」
雅人の言葉が、真摯な心が、絢乃の心を開いていく。
・・・これまで誰にも言ったことがない、心の傷・・・。
絢乃はふっと睫毛を伏せ、ゆっくりと口を開いた。
一言、また一言と噛みしめるように過去の傷を明かしていく。
───やがて、全てを話し終えた後。
雅人はそっと絢乃の髪を撫で、囁くように言った。