蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
「あのね、なんで兄貴のおれが婚約発表の場に呼ばれてないわけ!? おかしいだろ、それっ」
「・・・そ、それは・・・っ」
「おれが知ったのは、今朝のネットのニュースでだよ!? ネットだよ、ネット! ありえないだろ、普通!?」
慧の怒声に、絢乃はううっと頭を抱え込んだ。
・・・確かに、慧の憤りは尤もだ。
しかし昨日の件は、絢乃にとっても青天の霹靂だった。
「おれが星飛雄馬の父親だったら、北條さんを殴ってるよ!? 殴らなくても、ちゃぶ台ぐらいはひっくり返してるっ」
「・・・け、慧兄、落ち着いて。北條さんも後日挨拶に来るって言ってるから・・・」
「当たり前だろ!? 来なかったらこっちから挨拶に行ってやるっ」
いや、それはどうかと・・・。
絢乃はヒィィと仰け反りながら、昨日からのことを思いだした。
・・・あの後。
二人はそのままホテルに泊まり、ホテルで昼食を取った後、雅人の家へと戻った。
そして雅人の家で夕方まで過ごし、戻ってきたのだが・・・。