蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~



『・・・今日のは入口だ。まだまだ、こんなもんじゃない』

『え、ええ・・・っ』

『いろいろ教え甲斐がありそうだな、お前は?』


あれだけ気持ち良かったのに、まだ入口らしい。

となれば中に入ってしまったら、自分は一体どうなってしまうのか。

絢乃は両頬に手を当て、俯いた。


「・・・ちょっと、アヤ。なに顔赤くしてんの」

「・・・あ、ごめん、慧兄」

「とにかく、婚約はもう終わっちゃったからしょうがないけど、結婚式の日取りが決まったらちゃんと教えること。お前のエスコート役は誰にも渡さないからね?」


慧はじーっと絢乃を見つめ、言う。

・・・その、かすかに翳りを帯びた、真剣な瞳。

慧の言葉に、絢乃ははっと息を飲んだ。

確かに、教会で挙式することになったら、エスコート役が必要だ。


< 118 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop