蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
『・・・今日のは入口だ。まだまだ、こんなもんじゃない』
『え、ええ・・・っ』
『いろいろ教え甲斐がありそうだな、お前は?』
あれだけ気持ち良かったのに、まだ入口らしい。
となれば中に入ってしまったら、自分は一体どうなってしまうのか。
絢乃は両頬に手を当て、俯いた。
「・・・ちょっと、アヤ。なに顔赤くしてんの」
「・・・あ、ごめん、慧兄」
「とにかく、婚約はもう終わっちゃったからしょうがないけど、結婚式の日取りが決まったらちゃんと教えること。お前のエスコート役は誰にも渡さないからね?」
慧はじーっと絢乃を見つめ、言う。
・・・その、かすかに翳りを帯びた、真剣な瞳。
慧の言葉に、絢乃ははっと息を飲んだ。
確かに、教会で挙式することになったら、エスコート役が必要だ。