蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
翌日の月曜。
出社した絢乃に、部長の澤田から呼び出しがかかった。
部長直々に絢乃を呼び出すことはめったにない。
なんだろう、と部長室に行った絢乃に、一枚の紙が渡された。
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辞令
1/1付で北條商事 経営企画室への出向を命じる
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「・・・え?」
とポカンとした絢乃に。
澤田はひとつ咳払いし、告げた。
「理由は君の方が良く分かっていると思うが。恐らく数か月出向した後、転籍になるだろう」
「・・・は、はあ・・・」
「正直、私としては北條君を失った上、君まで失うのは痛い。だが君にとってはある意味チャンスかもしれないな。違う世界を見てみるのもいいだろう」