蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
違う世界って・・・あまりに違いすぎるような気が・・・。
しかも経営企画室ということは、これまでの社内SEの仕事とは全く違う仕事をすることになる。
・・・大丈夫だろうか。
と青ざめた絢乃に、澤田は元気づけるように言った。
「北條商事にも情報システム部はある。うちとは規模が桁違いだが、いずれはそちらの方に異動する可能性もあるだろう」
「・・・はい」
「君もいろいろあって大変かもしれないが、健闘を祈るよ」
澤田は笑い、ポンと絢乃の肩を叩いた。
その笑顔を見ながら、絢乃はふと思い出した。
・・・確か、数週間前・・・。
卓海の部下になりたくない、と言った絢乃に、雅人は『少し考えておく』と言っていたような気がする。
・・・まさか。
絢乃は唖然としながら、渡された辞令に視線を落とした。