蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~

2.ライバル出現?




年明け。

絢乃は横浜に向かう電車の中にいた。

北條商事の本社は横浜駅から徒歩5分のところにあり、絢乃が住んでいる宮崎平からは電車を二本乗り継いでいく必要がある。

都内に向かう電車ほどは混んでいないが、それでも朝は相当人が多い。


30分後。

絢乃は北條商事のエントランスをくぐり、中に入った。

建物は15階建てで、その全てが北條商事の本社らしい。

グランツ・ジャパンもそれなりの規模の会社ではあったが、北條商事とは雲泥の差だ。

絢乃はその大きさに内心圧倒されながら、受付の前に行った。


「あの、本日からこちらに出向になりました、秋月です」

「はい、少々お待ちくださいませ」


受付嬢は手慣れた様子で手元のノートパソコンを操作し、来客予定を確認する。

やがて一枚のICカードを取り出し、絢乃に差し出した。


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