蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
「失礼しまーす」
甲高い声とともに、愛美が経営企画室の居室に入ってくる。
愛美は絢乃をじろっと一瞥し、そのままスタスタと大塚の机の前に歩いていく。
相変わらず手足は長く、そして顔は小さく可愛らしい。
こんな子が雅人の従妹なんだ、と思うと胸がズキンと痛む。
愛美は手にしていた資料を大塚に差し出し、その唇を開いた。
「常務から、この資料の補足資料を作ってほしいとのことです」
「補足資料、か。期限はいつまで?」
「今週の木曜と言ってました。では、よろしくお願いします」
愛美は大塚にぺこりと頭を下げ、部屋を出て行く。
しばし後、絢乃は大塚に呼ばれて机の前へと行った。
「秋月さん。この資料なんだけど・・・」