蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
『さすが、北條役員が3年間仕込んだだけはありますね。真面目だし、きっちりしているし、いろいろな意見を出してくる。ずっと経企にいてほしいくらいですよ』
『・・・そうか』
『情報システム部からもラブコールがかかってるらしいですね。もともと彼女の本職はそちらですしね~・・・』
大塚は感心したように頷きながら言う。
雅人は苦笑しながら、内心でため息をついた。
・・・確かに、絢乃の本職は社内SEだ。
しかし北條商事の情報システム部は北條グループのデータセンターがある埼玉の加須にあり、川崎からだと通勤が厳しい。
それに、絢乃には自分の目が届くところに居て欲しい。
婚約者になった今、その思いはこれまで以上に強くなっている。
最初は秘書室に配属にすることも考えたが、さすがに秘書の仕事は絢乃にとっては畑違いだろうし、秘書室には従妹の愛美もいる。
愛美は絢乃に敵愾心を抱いているため、職場が変わるストレスに加えてそのストレスを受けることになっては、絢乃の精神が疲弊してしまう。
そう思い、経営企画室にしたのだが・・・。