蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
「・・・具合でも悪いんですか?」
「あなたには関係ないでしょ! 放っておいてくださ・・・」
と言いかけた愛美だったが。
絢乃の目がノートパソコンの画面を捕らえたのを見、ぐっと言葉を詰まらせた。
ノートパソコンに映っていたのは、絢乃もグランツで何度か目にしたことのある、雅人からのお叱りメールだった。
提出した資料やデータの間違い箇所の指摘と、その対策。
雅人は度が過ぎる時は口頭で注意するが、それ以外の場合は『記録に残るから』という理由で、指摘内容をメールで送ってくれる。
絢乃は新入社員研修の頃から何度も目にしたことのあるメールだが、愛美は初めてだったらしい。
「・・・こんなこと、言われても・・・っ」
どうやら雅人からのメールがショックで混乱していたらしい。
・・・しかし、メールだからまだ全然マシな方だと思うが・・・。
『愛美ちゃんはまだ社会人一年目だから、ちょっと子供っぽいところがあるんだ』
───大塚の言葉が脳裏をよぎる。
なんとなく不憫になり、絢乃は愛美の横に片膝をついた。
メールの内容を一つずつ確認していく。