蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~




バタバタと机の上を片付け、三人で社食へと向かう。

・・・あれから。

愛美は異様に絢乃に懐くようになり、なぜかこうして三人で昼食を取ることが多くなった。

グランツにいた頃は春美とよく社食に行ったが・・・

それと同じような感覚で、絢乃としてはちょっと嬉しい。


社食はエレベーターホールの逆側にあり、社食に行くためにはエレベーターホールを抜けていかなければならない。

絢乃達は急ぎ足でエレベーターホールを抜けようとした。

その時。

ポーンという音とともに、エレベーターが到着した。

中から出てきたのは・・・


「・・・絢乃?」


ビジネスコートに身を包み、ビジネスバッグを片手にした雅人が驚いたように絢乃を見つめる。

その姿は、若いながらも役員の雰囲気というか、貫録のようなものが漂っている。

思わず足を止めた絢乃の腕を、愛美がぐいと掴む。


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