蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
「経営企画室の秋月です」
「・・・入れ」
絢乃はそっとドアノブを開け、中に入った。
部屋の中は西側がガラス張りになっており、その手前に執務机が置かれている。
壁に沿って本棚やパソコンデスクが置かれ、扉側の壁沿いにはソファーとローテーブルが並んでいる。
初めて入る雅人の居室を、絢乃はついきょろきょろ見てしまったが、ここに来た目的を思い出し慌てて執務机の前に寄った。
雅人は執務机の上に何やら資料を広げ、カリカリとペンを走らせている。
「資料をお持ちしました」
「ああ」
雅人は集中した様子で何やら書いている。
この部屋といい、雅人が身に着けている上質なスーツと言い、雰囲気といい・・・
その姿は、まさに役員という感じだ。