蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
───週末にいつも見ている雅人とは違う、仕事モードの雅人。
グランツにいた頃とは、やはりどことなく雰囲気も違う。
絢乃は心の隅がキュッと痛むのを感じ、慌てて机に資料を置いた。
一歩下がり、ぺこりと一礼する。
「・・・失礼いたします」
と言い、踵を返しかけた絢乃だったが。
「待て」
の声に、足を止めた。
振り返った絢乃の視線の先で、雅人はひとつ息をついてペンを置いた。
その少し疲れたような表情に、絢乃は眉を上げた。
どうやら相当集中していたらしい。
雅人は椅子に座ったまま絢乃を見上げ、口を開く。
「・・・こっちに来い」
「え・・・」
「いいから、来い」