蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
「後で念のため、そのアドレスにメールを入れておいてくれ」
「はい、わかりました」
絢乃はコクリと頷き、雅人を見た。
・・・いつも会社で見るのと変わらない、その表情。
かなりとんでもない事態になっているハズなのだが、会社で仕事を受けるときとあまり変わらないような気がするのはなぜだろう。
それにしても、仮とは言え『婚約者』って・・・。
とてつもなく不安ではあるが、この事態を招いたのは自分だ。
・・・自分にできることを精一杯するしかない。
絢乃は唇を噛みしめ、コーヒーカップに指を伸ばした・・・。